この仕事は寝たきりの方の家を訪問して施術をし、その他にも営業時間外でパソコン入力の仕事もありました。
一年程すると担当の患者さんが増えて(そのことは嬉しいのですが…)あまり好きではないパソコン入力の仕事も増え、それが苦痛で「もう仕事したくない!」と思い、妻に『当分仕事というものをしたくない』と伝えると、パートをしていた妻は『自分ばっかりズルイ!!私も仕事を辞めて遊びたい!!』と言うので、二人で仕事を辞めて、貯金を切り崩しながら、なるべく長く仕事をしないで遊ぶことにしました。
親や友人の家に泊めてもらったり、お金のかからないヨガや、散歩をしながら野草を摘んで、それを食べたりする生活を楽しんでいたのですが、ある日妻が、『腰が痛くなった』と言うので、あらゆる治療を施したのですが、何日たってもよくなりません。
困り果てて思いついたのが、妻の本音を聞きだす方法です。妻本人も気づかないような抑圧されたストレスの本音が原因だと思い、ある晩『何か不満に思うことはないか?』と問いただしました。
最初は『毎日仕事しなくていいし、楽しい。』と言っていたのですが、それでもしつこく何かないかを聞いていくと、私に『働いてほしいと思っている。貯金が減って不安だから』と言いました。でも、普段はそんなこと思ってなかったそうです。
『自分が働いてないのに夫にだけ働けとは言ってはいけないと思っていたのかも…』とも言ってました。次の朝、妻の腰痛は完全に消えていました。
だからといって、すぐに働き始めたわけではないのですが、妻は自分の本音に気付いて、それを私に伝えることが出来たことで楽になれたのではないかと思います。全ての症状がストレスと関連しているのかはわかりませんが、ストレスが原因の症状があることは確かなようです。
今回の腰痛は『働いてほしい!』と本当は思っていたのに『そんなことは言ってはいけない』という平等の価値観によって無意識層に閉じ込められた思いが言葉による表現を失い腰痛によって表現されたのだと思います。
最近、NHKの「ためしてガッテン」で福島県立医科大学の紺野教授がおっしゃっていたのですが、ある女性患者さんの腰痛の原因は、ご主人の仕事の帰りをどんなに遅くても寝ないで待っていることだとわかり、ご主人に『仕事が遅いときは先に休んで』と奥さんに伝えてくださいといったら、慢性的な腰痛が治ったそうです。
さらに教授は腰痛の85%は物理的な原因は不明だともおっしゃっていました。本人が気付かない本音は周りの人が気付いてあげられるといいな~と思いました。
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